省エネ基準の話 最終回「これからの住まい方」

昨年の10月より、平成25年省エネ基準が施工されました。現在は300㎡未満の小規模住宅では努力義務で、必ずしも省エネ基準に適合させる必要はありません。しかし、2020年より義務化になり、適合させなければ家を建てることができません。

また、日本は省エネ基準に適合していない既存建築物が数多く残っており、国は既存住宅・建築物の省エネ改修への支援などで、中古住宅市場にも力を入れていくと予想されます。平成25年基準に適合させずに建築された住宅は、2020年義務化を境に既存不適格とされ、将来、中古住宅流通市場において不利になる恐れがでてきます。

外皮性能(断熱性能・気密性能)は内装や設備などと違い、後からの改修においては大掛かりになり、コストも新築時以上に掛かってしまう可能性もあります。このことを踏まえると、外皮性能だけでもH25年基準に適合させることが賢明と思われます。

また、外皮性能を上げると、冷暖房を効率的に使用することができ、ランニングコストを抑えられる省エネ効果の他、開放的な間取りでも家全体の温度差を一定に保ち快適性を高め、脳卒中や心筋梗塞などの危険を減らしたりと、健康寿命をのばす効果もあります。快適性・安全性をみると、メリットは大きいと思います。

国は低炭素社会に向けて、2020年の省エネ基準適合義務化をはじめ、今後さらなる目標に、2020年までに標準的な新築住宅でZEH(ゼロエネ住宅/ゼロ・エミッション・ハウス)を実現し、2030年までに新築住宅の平均でZEHを実現することとしています。また、最終目標に、住宅の建設時から運用・解体・廃棄までの一生涯に排出するCO2をマイナスにするLCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅を目標としています。

以上、省エネ基準の話をしてきましたが、これからは、単に省エネを進めるのではなく、一人一人が我慢を強いられず(一番の省エネはエネルギーを使わないという我慢)、快適さ・豊かさを実感できるような「住まい方」が望ましいのではないでしょうか。

低炭素社会に向けた住まいと住まい方の推進に関する工程表